格差が広がり、美容業界は難しい状況に

格差が広がり、美容業界は難しい状況に

アベノミクス効果で確かに一部の人は儲かった。どういう人かというと、大金持ちに小金持ちを合わせてざっと2割の人たちだ。金融緩和策でお金がダブつき、ダブぶついたお金は、結局お金持ちのところに流れた。お金を扱う銀行や株屋も大いに儲けた。トヨタを筆頭に純益を大幅に拡大した大手企業も多い。
残りの8割の普通の人は、儲けていない。逆にアベノミクス効果による円安で食料品やエネルギーなどの輸入品が値上がりして、財布の紐はむしろ締まった感がある。ひところ30兆あるといわれていたタンス預金、アベノミクスで儲けた人が高級品なを購入して使ってはいるが、それでも使いきれず現在は44兆円に増えたという。経済アナリストはアベノミクス効果に浮かれているが、現状は格差が広がっただけだ。

こんな状態では美容業界もいいわけがない。昨年も理美容の消費者物価指数は横ばいで100を下回ったままである。家計調査(二人以上の世帯)の理美容関係支出は前年比減少している(月報を集計した段階)。美容業界はパーマの復権運動に取り組んでいるが、努力の甲斐なく昨年も縮小した。
そんな中で不思議なのは大手のディーラーさんがビルを建築するなど好調なことだ。美容業界は不景気だが、考えてみると、新規に開業する美容師さんは多く、毎年1万店前後が新規に開店している(衛生行政報告)。上場しているディーラーさんはないので、正確な財務状況はわからないが、新規開店はディーラーさんにとってはおいしい商売なのかも知れない。

20年以上も前からオーバーショップ状態といわれている美容業界、美容店はさらに増え競争はいっそう厳しくなっている。そんな中でどう生き残るか?
すでに人口動態の影響は美容業界にも及んでいる。若年層が減少しスタッフ不足は深刻化している。スタッフを確保するためにも、より高い生産性、付加価値が求められる。
一方、高齢者は増える。美容業界も高齢者、中高年を対象にした技術メニューやサービスを提供することが必要なのは明らかだ。それにはカット&ブロー中心ではダメなことは、この連載で再三指摘した。
高齢者は若くみられたい、薄毛をカバーしたい、といった加齢に伴う願望や悩みが少なからずある。それらの願望、悩みを解決してさしあげる技術、カウンセリングが重要になる。
「悩み解消サロン」である。
美容業界は、ますます厳しい環境になるが、こういった厳しいときこそチャンスと捉えてチャレンジすべきだ。当欄の読者はぜひ、ピンチをチャンスにしてほしい。

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