カット&ブローでは生き残れない タイトル

カット&ブローでは生き残れない

政府が先さきごろ発表した大手企業の景況判断指数では、好転の兆しが見えるとされているが、身近にはそうは感じられない。少なくとも理美容業界は不況のままである。

9月30日に発表された日本政策金融公庫の生活衛生業の景況判断指数(2011年4月〜6月期)でも、大手企業の景況判断と違い、ほぼ全ての指数がマイナス域だった。全国に250万の事業所数がある生活衛生業がこれでは、やはり日本の景気は実感としてよくなっていない。もちろん理容業、美容業も生活衛生業の一角にあり、景況判断は不況のままである。

そんな不景気な中、この10月 知り合いの女性が美容室に予約を入れたが、希望通りの予約が取れなかったというから驚いた。青山や表参道の有名どころの美容室ではない。雑誌に出るような人気美容師がいるお店でもない。どこにでもあるような、ごく普通の美容室である。

その店の特長は、ピンカールにある。ピンカールで作るウエーブヘアのスタイルが人気で予約がいっぱいになっている。ピンカールでつくるウエーブヘアは、セットも簡単で再現性がとてもよいので、おしゃれな中高年女性からは根強い人気がある。美容の仕事の原点といえるピンカールの施術を完璧にこなせる美容師さんは残念ながら少ない。だからピンカールのできる店に予約が集中し、大繁盛するのだ。

ピンカールというと、いまどきの若い美容師さんは、見向きもしない。カット&ブローができれば一人前と思っている。確かに多くの美容室では、スタイリストデビューの条件としてカット&ブローが大前提になっている。その結果、世の中はカット&ブローの美容室ばかりである。カット&ブローはいまや飽和状態である。

どこもかしこもカット&ブローの美容室ばかりなると、料金の競争に陥るのは必然である。実際、1500円、2000円の低料金店に人気が集まっている。以前の安売り美容室というと、安いけど、、と安さだけが「売り」だったが、いまどきの低料金店は違う。安くて、早くて、うまい。どこかの牛丼屋の宣伝文句のようだが、特定の技術に特化した新業態店なので、以前の安売り美容室とは違い、多くの客がこの新業態店に流れている。

新業態店は定着しつつあり、いづれ新業態店同士の競争に突入するといわれいる。このような状態では、自宅営業の美容室はかろうじて生き残れるかもしれないが、人を雇って、テナント店で営業している美容室の多くは立ちゆかなくなるのは目に見えている。

このような熾烈な競争下、どうすれば生き残れるのか? はっきりいえることは、カット&ブロー一辺倒では生き残るのは難しい。これは断言できる。技術革新のない美容にあっては、過去に目を向けることも一つのヒントになる。ピンカールやレーザーカットはいまとなってはレトロな技術ではあるが、美容の基本ともいえる技術である。厳しい時代を生き残る一つの戦略として、再三の提言になるが、美容の基本ともいえるレトロな技術を見直してはいかがだろう。

ピンカールを表看板にしている美容室の繁盛ぶりを見て、レトロ・イノベーションの必要性を再認識した次第である。

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